2008-06-18(Wed)

八ヶ岳:越年登山 (6)

阿弥陀岳
赤岳山頂から「阿弥陀岳」、手前は中岳

「山」に関する過去の雑記、メモを整理しながらブログに投稿しております。お茶など出ませんが、同じ趣味、興味のある方は立寄って御覧ください・・、現在と比較しながら眺めるのも一興でしょう・・。


『山旅の記憶』・・「八ヶ岳:越年登山」(6)

稜線に出て、先ずは赤岳石室小屋(現在の赤岳天望荘)で休憩とする。 そして、今夜はこの天下の稜線小屋で一夜を明かす予定でもある。
 
小屋の中は、今は薄暗くひっそりとしていて何の変哲も無いが、我等にとっては御殿のお城のようなものである。
時刻は未だ午前の域であり、昼食代わりに軽いビスケットと紅茶等を胃に詰め込んで早速、主峰・赤岳のアタックにかかる。
無論、大型キスリングは小屋に留めて、小ザックのみの身軽な出で立ちである。 
先刻の地蔵尾根の登攀では、やや緩めだったアイゼンの紐もしっかり結び込んだのは勿論である。
先ず、ツヅラ折りの急斜面を登ってゆくと、一枚岩のような平板の登りにさしかかる。
胸突き八丁の登りをアイゼンを効かせ喘ぎながら登る。 
堅い雪の斜面はアイゼンがよくきき登りやすいが、それでも先端部を充分に利かし、鎖に頼りすぎないようにピッケルでバランスをとりながら凡そ、垂直とも思えるような急斜面を攀じる。
幸いにして、この頃は風も止み、視界は透明感で溢れ、富士山もくっきり見えている。

鎖場の上部核心部も多少ビビリながらも無事に越えて、あとはジックリ進むこと20分余り、山頂の小屋がすぐ近くに見えだした。
山頂は小屋から南へ一分ほど歩いたところにあった。
石室小屋から1時間足らずで遂に、冬季における八ヶ岳主峰・赤岳の2899mの山頂立ったのである。 思わずバンザイと大きな声で叫びたくなる気分である。 遂に冬山で3000m級の山頂に立つことができたのだ。
厳冬期の山頂でこんなにゆったりできるのも、天気がよく無風な為であろう。
いずれにしてもコンディションもマヅマヅで、いい日和に恵まれたらこそで、天気が悪かったら初心者の我等の実力ではとても頂上は目指せなかったであろう。 
神に感謝である・・。

(お馴染み、ファッションのパルコの通販)



2800m代の標高は、富士山と北・中央・南の各アルプスとここ南八ヶ岳以外にはなく、わが国では貴重な高さなのである。
無論、頂上の展望は素晴らしいの一語で、遠く北アルプスの稜線から中央アルプスの稜線まで望め、たなびく雲の間から富士山が頭を出している。 そして何より素晴らしいのは、間近に見える南アルプスの稜線である・・、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、白峰三山に鳳凰三山と、南アルプス北部の山々を手に取るように眺めることが出来る。

赤岳(2899m)
赤岳は八ケ岳連峰の最高峰で、長野県茅野市と山梨北巨摩郡大泉村との境に位置している。 
その山容は南麓方面から仰ぐと、ヨーロッパ・アルプスのアイガーに似ているともいわれ、勇壮そのもなのである。
因みに、「赤岳」という山名は、酸化鉄による赤い岩肌からきたもので、早朝や夕映えの輝きはひときわ美しいものがあるという。

所謂、「有頂天」の一時を過ごした後、山頂を後にする。
さて、同じコースでの下りになる・・、登りではさほど怖いとは思わなかったが、急斜面やトラバース(横歩き)では緊張を強いられる、滑落すれば一巻の終わりである。
クサリ場あたりの断崖では慎重にピッケルを使い、アイゼンのツアッケ(尖トガった先の部分)をしっかり利かせて一歩一歩距離をかせぐ。 
はじめのジグザグのところまで下りきればもう安心である。

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思い起こすと、今日は12月31日の大晦日である、この年も残すところ僅か数時間となった。
缶詰を開き、ウイスキーをチビリながら、彼と山の談義をし今年一年を振り返るのである。
小生自身の今年の10大ニュースは何だろう・・?、特にこの度(旅)の「八つ・越年登山」はどの位置にランクされるのか・・想いは巡る。
小屋の管理人も今日だけは許すであろう・・、周囲のグループ、大パーティなどは年越しの宴で大賑わいである。

トランジスターラジオ(現、携帯ラジオ)が、恒例のNHK紅白歌合戦を雑音とともに奏でている。 そう、下界では、其々が新年を迎える準備も整い、大晦日を楽しみながら「おこた」で寛いでいることだろう。 
小生達は、この山の頂で時を待つのであるが、果たしてこれで良かったのであろうか・・?、とフッと小心な気持ちを抱かないでもない・・。

・・・
床に入って・・・、気が付いて時計にヒカリを当てると、0時30分・・、既に新年は明けていた。
横の彼氏は鼻息をたてている、無言で「おめでとう」の挨拶を交わし小用で小屋を出て見ると、先刻までの風も止んで半月の光が周囲の山々を浮かび上がらせている。 
お月さんのご来光でもあり、非常に神々しいばかりの雰囲気であった。
明け方の好天を祈りながら、再び眠りに入った。


更に、続きます・・、



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