2011-08-11(Thu)

尾瀬紀行(53)尾瀬の自然 「尾瀬の価値」

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尾瀬紀行(53)尾瀬の自然 「尾瀬の価値」 ,




初夏の尾瀬ヶ原の木道と至仏山



因みに、この尾瀬最大の特徴である木道は、山地、峡谷以外の所謂、湿原、平地部分にはほぼ全域にわたって整備され敷かれていて、木道以外の場所を歩けないようにしてある。

当初の木道の目的は登山者の為のもので、湿原の泥濘(ぬかるみ)から身を守るためのものであったらしい。 
だが、当初は単線の木道しか設置されていなかったために行き違いが出来ず、湿原に降りた多くの登山者により踏み荒らされることが多かった。 
これを契機に、尾瀬のほぼ全領域に亘って計画的に複線の木道が整備されるようになった。

現在では木道の目的は湿原を登山者の踏みつけから守るものへと変化している。 
なお、
複線部分の木道は基本的には右側通行となっている。


木道の材料は尾瀬周辺の林で伐採した木材が利用されていたが、尾瀬地域が特別天然記念物に指定されたことによって、その後は地域外の木材をヘリコプターなどで搬入して利用しているらしい。
最近の木道はカラマツ材が使われることが多く、この木材は樹脂分が多く、湿原の水分にも簡単には浸されず比較的長持ちするといわれる。 
それでも10年前後で腐食がすすみ更新が必要であるため、計画的に改新工事が尾瀬の各所で行われているのが通常である。



古代の尾瀬は、現在の尾瀬ヶ原をすっぽりと埋まるような「古尾瀬ヶ原湖」という水深200メートル以上もある巨大な湖が形成されていたという説もある。 
尤も、その後の調査からは直接そのような証拠は発見されていないともいわれるが・・?。
今のところ確かなのは、尾瀬ヶ原の東半分程度が水没していた浅い湖が1万6千年年前頃まであったということで、現在の尾瀬沼の約4倍程の面積であるとされている。
いずれにしても尾瀬ヶ原も尾瀬沼同様の一湖水であったらしい。 

其の後、周囲の山々からの土砂、火山灰が流入し、そこへミヅゴゲ、其の他湿原植物群の堆積が進んで底部に次第に泥炭層を作りながら、現在の大湿原と化したものという。

尾瀬ヶ原の泥炭層の厚さは、ボーリング調査などから見て4.5メートル以上あるらしいが、おそらく5メートルを超えるところもあるという。

尾瀬の泥炭の堆積速度は、堆積した時代の気候、泥炭をつくる植物、分解度などによって異なるが、およそ1年間に0.7~0.8ミリメートルと考えられている。 
従って、湿原への「踏み込み」などにより1センチ陥没した場合、その回復には単純計算でも10年以上の歳月が必要になるとされる。




尾瀬は「国立公園」になっている。
本州最大の湿原を持つ尾瀬は、その他にもオオシラビソ林や山地湿原など優れた自然環境を有する会津駒ヶ岳と田代山・帝釈山の周辺地域を新たな国立公園区域として編入し、平成19年(2007年)8月30日、日光国立公園から独立して新たな一つの国立公園、「尾瀬国立公園」として指定された。

更に、尾瀬は学術的価値も高く、その保存が厳しく義務づけられているため「特別天然記念物」に指定されている。

又、尾瀬は湿原生態系としての価値が評価され、2005年11月に「ラムサール条約湿地」として登録されている。
ラムサール条約は正式な名称が「 特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約 」とあるように、複数の湿地を移動する渡り鳥などの生き物や、その生態系を国際的に守るために作られたものである。


自然の造詣は永い間の時間の蓄積によってつくられたもので、わずかな変化でも、その影響は全体に及んでしまう。 
 
尾瀬」の現状を少しでも変化してしまっては、元へ戻すには更なる時間を要するか回復、復元が不能になってしまうのであり、そればかりか一つの変化は広範囲に波及して広がり、再び元へは戻らない。
環境を保護するとは、ただ一つ、”現状をこのままの状態で維持する”ことが絶対必要条件なのである。

次回、尾瀬の「オーバーユース




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