2012-02-13(Mon)

大菩薩峠・紀行(18) 「妙見大菩薩」

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大菩薩峠・紀行(18) 「妙見大菩薩」   .




ナイスイラスト・・!
「とよだ時・山岳ゆーもあ画」(http://toki.moo.jp/)より、寸刻拝借しました。



大菩薩峠の上部にはには妙見ノ頭、妙見岩という岩峰がある。
そこには克って妙見社(妙見宮、妙見菩薩)と言うのが二社が祀られていたとされる。

何時ごろからは定かでないが、一社は小菅村において鎮座のもの、もう一社は萩原村(塩山市)が設けて鎮座させたものといわれる。
これによって「大菩薩峠」という名称が付けられたとも言われる。


尤も、大菩薩の名前については諸説あり、平安後期の源新羅三郎義光に因む八幡大菩薩説、それに塩山市上萩原に祭られる観音菩薩説(現在の神部神社に相当・・?;裂石より凡そ3km下部に鎮座していて、神仏混交時代・十一面観音菩薩が祀られていた。境内には岩間温泉が湧いている)、もう一つは妙見菩薩が峠の一角に奉られたことによるとされている。


江戸時代の地誌『甲斐国志』に出てくる妙見菩薩に関する文献がある。

『甲斐国誌』によれば、『峠ニ明見大菩薩社アリ』とあり、又、『小菅村ト丹波ヨリ山梨郡ヘ越ユル山道ナリ。登リ下リ八里、峠ニ妙見大菩薩二社アリ、一ハ小菅ニ属シ、一ハ萩原村(塩山市)ニ属ス。 萩原村ヨリ、米穀ヲ小菅村ヘ送ルモノ此、峠マデ持来タリ、妙見社ノ前ニ置キテ帰ル、小菅ヨリ荷ヲ運ブ者峠ニ置キテ、彼ノ送ル所ノ荷物ヲ持チ帰ル。此ノ間数日ヲ経ルト雖モ、盗ミ去ル者ナシ』、と、両方の文ともに妙見菩薩を祭る社が大菩薩峠(旧峠)に二社あったと記されている。


それでは、一体「妙見菩薩」とは如何なる仏神なのであろうか・・?

妙見とは、「妙見大菩薩」の事で、妙見大菩薩とは密教の仏様で北斗七星(北極星)を象徴とした天空の中心をつかさどる仏様の「妙見さん」として古くから信仰されてきたという。
そして、国内においては「妙見大菩薩の信仰を妙見信仰」ともいう。

つまり「妙見」という言葉そのものが「仏典」を根拠とする「仏教用語」であり、各地に「妙見」という地名があり、これらは妙見信仰が盛んであったことに由来しているという。
その妙見信仰を理論的に説いたのが真言宗の祖、弘法大師・空海だとされる説もある。

「妙見菩薩」は中国の星宿思想から北極星を神格化したものであることから、通常は大黒天や毘沙門天・弁才天と同じ「天部」(天界に住む神々、十二天・天文神の総称)に分類されているという。
古代中国の思想では、北極星(北辰とも言う)は天帝(天皇大帝)と見なされ、これに仏教思想が流入して「菩薩」の名が付けられ、妙見菩薩と称するようになったと言われる。

「妙見」とは「優れた視力」の意で、善悪や真理をよく見通す者ということで、真意は「我れ、北辰菩薩にして名づけて妙見という。今、神呪を説きて諸の国土を擁護せんと欲す」ということにある。


妙見菩薩が日本に登場するのは渡来人によるもので、仏教伝来とほぼ同時期と考えられている。 
因みに、平安京を開いた桓武天皇も妙見信仰を崇拝していたとされ、それだけ重要だった妙見信仰が朝廷周囲、朝廷を取巻く貴族、朝廷を守る武士団にも影響があったことは充分想像される。


そして、妙見信仰と板東武者の結びつきも深いものが有るとされている。
中世においては千葉氏や九戸氏(南部藩)が妙見菩薩を一族の守り神としており、千葉氏の氏神とされる千葉市にある千葉神社では今日でも妙見菩薩を祀っている。
尚、奥州・九戸氏は南部氏の祖・源光行(南部光行)の子で、甲斐源氏の出身であり、南部の姓は甲斐の国から始まったものである。


序ながら、大菩薩の名前が生まれたのは、源義家の弟・源新羅三郎義光が、奥州遠征の折に「南無八幡大菩薩」を唱えたことからその名前が付いたと伝承されている。

新羅三郎義光(源義光)は平安時代後期の武将で、甲斐源氏の祖といわれるが、彼自身、甲斐の国には直接関わりは無く、歴史的には義光の子である源義清(武田冠者)とその子清光が常陸国那珂郡武田郷に土着して武田氏を称し、その清光ガ常陸より甲斐に進出してきたことにより甲斐の祖となったのである。
新羅という名は義光が元服する際、大津の園城寺(三井寺)の新羅明神堂の前で行ったことで新羅義光と自ら名乗ったとされている。

源義光、そして孫の甲斐武田の祖・源清光が妙見信仰を拝していたかどうかは定かでない。
更に、義光が奥州遠征の際、如何なる理由で甲州・武州の大嶺(大菩薩)を越えたのかは不明である。

だが、伝承というものは“人づてに聞くこと”、“言い伝え聞くこと”なので、それなりの要因はあったのだろう・・?。


次回、「続・妙見大菩薩




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